2022.07.26メールマガジン

24年卒学生のガクチカ不足に対応は必要か否か?!大学側の課題感TOP3は?

弊社では、毎年の就活・採用市場の総括として、『新卒採用戦線総括』という資料を作成・リリースしております。まさに今も、9月のリリースに向けて『新卒採用戦線総括2023』を絶賛編集中です。

コロナ禍就活2年目の23卒就活・採用戦線がひと段落したタイミングで、企業様・大学様・学生さんの三者に調査を実施し、テーマごとに回答内容をミックスして分析・編集しています。

本日は、すでに調査が終了したもの中から「大学側の課題感」「企業側の”24卒学生のガクチカ不足”対応」についてピックアップして速報としてご報告いたします。

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■TOPICS
【1】大学側の課題感「接点強化」「発達障害・グレーゾーン」「低学年支援」
【2】企業側の”24卒学生のガクチカ不足”対応
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【1】大学側の課題感「接点強化」「発達障害・グレーゾーン」「低学年支援」
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大学キャリアセンターのご担当者様向けに、いくつかのテーマについて「必要性・課題感」と「取り組み/苦労している点」をお聞きしました。

このテーマの選定基準は、過去に「自由記述型」で調査をベースにしています。過去回答の中で、挙がることの多かった7つのキーワードをもとにピックアップいたしました。

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▼大学キャリアセンターが「必要性・課題を感じている」の割合
(7テーマすべての数値)

73.5% キャリアセンターへの来訪(接点)強化・就活に消極的な学生への対応
72.0% 発達障害・グレーゾーンに関する相談・支援
72.0% 低学年への支援体制
65.5% 教職員(学部)との連携
55.5% キャリアセンター職員のスキル向上
30.5% LGBTに関する配慮
27.5% 保護者(父母会)に対する支援体制

※各項目について、5つの選択肢を設定して調査
・必要性・課題感を感じている
・どちらかといえば必要性・課題感を感じている
・どちらかといえば必要性・課題感を感じていない
・必要性・課題感を感じていない
・この設問には回答しない
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ここでは、全国のキャリアセンターの7割以上が「必要性・課題感」を感じている3つの項目に絞ってみていきたいと思います。それぞれのテーマについて、以下2つのコメントを頂いています。
1.苦労している点
2.具体的な取り組み
さっそく見ていきましょう。

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[1]キャリアセンターへの来訪(接点)強化・就活に消極的な学生への対応
(73.5%)
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こちらは、キャリアセンターの存在意義としてももっとも重要な項目です。
課題を感じる大学が多く、その内容は、
・アプローチの難しさ
・二極化・固定化
・動機付け
の3つに大きく分かれているようです。

また具体的な取り組みとしては、「ゼミ」という単位の活用が目立ちました。就活に対する意識や、連絡ツールの確認頻度に限らず、ゼミは定期的な接点が持ちやすい場です。ゼミ担当教員との協力関係や、ゼミに所属していない学生への対応、という点は引き続き課題ですが、”接点強化”においては効果的と言えるでしょう。

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1.苦労している点
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●メールや着信を見ない、かけ直さないなど、全く連絡が取れない学生が
多くなってきている(九州/沖縄・私立)
●そもそも連絡がとれないこと(関東・私立)

●呼びかけを行っても反応がない 本当にターゲットとしたい層に届かず、
リピーターの参加が多くなってしまう(関東・私立)
●電話にもメールにも反応がない学生に対して、連絡手段がない(関東・私立)
●ポータルサイトの既読率が低い(北海道・私立)

●全体掲示、学生個人へのメール、チャット、電話、保護者への電話をする
など学生と接触するために時間と労力がかかる(中国・私立)
●二極化が一層進み、非アクティブ層の動きが鈍い(関東・私立)
●意識の低い層と高い層の乖離(中部・国立)

●相談に来る学生が固定化してしまうこと。中には不必要に個別相談を
継続している者のいる(中部・私立)
●学生本人が自覚がないと行動しないので、呼びかけ以外の動機付けを
考えなければならない(関東・私立)
●魅力あるプログラムの開発(中部・公立)

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2.具体的な取り組み
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●ゼミ別相談会の実施(関東・私立)
●ゼミ教員を通じて就職課の利用推進(九州/沖縄・私立)
●研究室教員による個別面談(東北・私立)

●ゼミを通した学生へのアプローチ、直接電話がけ(関東・私立)
●学科担当制をとっており、担当キャリアカウンセラーが個別に連絡をとって
いる。 また学科の担任と連携してキャリアセンターへの来訪を促している
(関東・私立)

●定期的なメール配信 立て看板やポスターでのキャリアセンターの周知
(関東・公立)
●メール・学内掲示での案内。教員を通じてのイベントの紹介(関東・私立)

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[2]発達障害・グレーゾーンに関する相談・支援
(72.0%)
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こちらも近年急増するテーマです。苦労する点としては
・専門性・職員対応の限界
・本人からの申告・本人の自覚の問題
・近年急増したテーマであり、事例が不十分
・学内組織の担当区分の明確化
などが挙げられました。
対応としては、「学内外組織との連携」「積極的な情報発信・調査」といった方針が目立ちました。

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1.苦労している点
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●対応できる人員数と専門性に課題を感じています(関東・私立)
●専門家ではない職員が対応しなければならないこと(関東・私立)

●自己申告するまで判明しないこと(関東・私立)
●学生本人が自覚していない場合の対応(関東・私立)

●具体的な事例が少ないこと。潜在化しており、表に出てきていないものも
ある(関東・私立)
●近年グレーゾーンの学生が増えており、就職に限らず学修面においても
対応が増えていること。 本人あるいは保護者が手帳の申請に及び腰で、
明確にすることで受けられるサポートが提供できないこと(関東・私立)

●年々これらの学生割合が増加している。程度は様々である(近畿・私立)
●どこまでどの部署がやるか役割分担の仕方、情報共有の方法(中部・国立)

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2.具体的な取り組み
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●10月にアンケート調査、結果により個別面談(関東・私立)
●ダイバーシティ推進室との連携(関東・公立)
●学生支援室や相談室と連携し、個々の状況に応じた支援に努めている
(関東・私立)

●学生相談室との連携(関東・私立)
●発達障害・グレーゾーンに対応する専門スタッフの設置、
他部署・構内心理学者への連携(関東・私立)

●就労移行支援関係の事業所との連絡(近畿・私立)
●障がい学生向け就職ガイダンス(関東・私立)

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[3]低学年への支援体制
(72.0%)
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低学年支援にも注目が集まりました。
背景としては、就活の早期化という点もありますが、産学協議会の報告書でも「タイプ1・2」として簡単に触れられており、その必要性は増しているといえます。ここでの苦労は、
・意識不足・積極的な学生の少なさ
・(それによる)参加率の低さ
という点に意見が集中しました。一方で
・低学年が参加できるインターンの少なさ
・直近の(3年生対象)インターン・採用情報になってしまう
という、適切な内容・プログラムの不足という点も挙げられています。

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1.苦労している点
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●就職に対する意欲の低い学生への対応(関東・私立)
●積極的な学生が少ない(北海道・私立)

●ガイダンスを実施しても参加しない(近畿・私立)
●2年次以下だと学生自身が課題と捉えていないため、講座を設置しても
結果的に人が集まらない(近畿・私立)

●参加率、関心の低さ(中部・公立)
●参加率が10%未満のため、低学年学生に対するキャリアや就労観に向けた
啓蒙活動や醸成への取組みが必要。学務関係との連携も必要と感じる
(関東・私立)

●潜在的ニーズはありながらも、就職活動に直結する内容を謳わないと
参加者が集まらない傾向にある(関東・私立)
●企業等に参加いただく場合、直近のインターンシップや採用情報の案内に
なることがあり、低学年生が参加した際に意味を感じにくい(関東・公立)

●就職活動が早期化しており、早い場合では3年生の4月にインターンに
かかわる活動が始まる。そのためキャリア観が作られる前に就活が始まって
いる(中部・国立)
●就職活動の早期化(関東・私立)

●インターンシップガイダンス参加学生が、実際に参加できるインターンシップ
が少ない。 年度初めには多くの学生がガイダンスに参加するが、
2回目以降のガイダンス参加者数が激減する(関東・私立)
●インターンシッププログラムは、希望者全員を受け入れることができない
(関東・私立)

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2.具体的な取り組み
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●1年2年生向けの就職ガイダンスを早期から実施。低学年ゼミへ出向し、
就職活動について説明(九州/沖縄・私立)
●低学年向けのプログラムの企画・実行(関東・私立)

●新入生向けキャリアセンターツアー、低学年向けガイダンス、SNSを活用
(関東・私立)
●低学年次へのインターンシップ支援を開始した(九州/沖縄・国立)
●キャリア教育科目の履修、インターンシップ参加の支援(中部・国立)

●正課として実施している課題解決型インターンシップに、低学年次生も
正課外で参加できるようにしている(九州/沖縄・国立)
●2年ゼミを対象に卒業生との座談会を実施(九州/沖縄・私立)

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いかがでしたでしょうか。
『新卒採用戦線総括2023』の本編では、全テーマについて触れております。

9月開催の総括セミナーで、その他のテーマと併せてご説明いたしますので、是非お申込みください。総括セミナー詳細は弊社営業担当・メルマガでのアナウンス等をお待ちください。

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【2】企業側の”24卒学生のガクチカ不足”対応
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続いて、企業様側への意識調査もご紹介します。
withコロナ就活3年目となる24卒は、入学時から新型コロナウイルスの影響を受けているため、ガクチカが不足しているといわれています。この設問では、企業の採用担当者様に「例年同様ガクチカを聞くことについて、何かしら配慮・対応が必要かどうか」を尋ねて言います。

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▼企業側が「例年同様ガクチカを聞くことについて、配慮・対応が
必要かどうか」

16.1% 必要性・問題意識を感じている
40.5% どちらかといえば必要性・問題意識を感じている
12.2% どちらかといえば必要性・問題意識を感じていない
17.1% 必要性・問題意識を感じていない
14.1% この設問には回答しない

「(どちらかといえば)必要性・問題意識を感じている」が、
全体の半数以上という結果になりました。
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方向性として、
・「大学時代」に限らず範囲を広げる
・背景から判断する
・ことの大小は問わないのでそのまま
・選考判断は「ガクチカ」がすべてではない
といった意見が挙がりました。

具体的なコメントは以下の通りです。

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▼上記を選んだ理由、検討内容や問題意識
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1;必要性・問題意識を感じている
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●高校時代の経験でも可とする(メーカー)
●ガクチカでなく、今までの人生経験したことを確認できる項目に
変更している(メーカー)

●面接を通じて学生時代に何に取り組んだかだけではなくどのように
取り組んだか等、より具体的な内容を傾聴する中で本人の人物や能力を
見極める必要がある(メーカー)

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2;どちらかといえば必要性・問題意識を感じている
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●「学生時代」というワードを「これまでで」へ変更。コロナ禍で学生時代
自由に活動ができないと思うため(メーカー)
●行動力など学生の見極めが難しくなった(メーカー)
●グループで何かをした経験が少なくなっていると感じているから(メーカー)

●23採用の最終選考時から既に「コロナ禍で工夫したことは」という質問に
切り替えている(サービス)
●アルバイト経験がない学生は家族が医療従事者等の事情がある可能性を
念頭に置くようにしている(流通)

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3;どちらかといえば必要性・問題意識を感じていない
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●どのような状況においても自身で考え実行したことが重要であり、
些細なことであろうと明確な動機があって実行したことならばその大小は
問わないため(メーカー)

●出来ない中でも取り組んだことがあればそれを記入すればいいと思うので
特に感じていません(メーカー)
●ガクチカのみで選考のすべてを判断するわけではないため(メーカー)

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4;必要性・問題意識を感じていない
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●ガクチカ以外の質問でも問題ないため(サービス)
●ガクチカをきちんと言える学生が多い中、不足している学生への配慮は
不要と考える(情報・通信)

●人と違うことではなく学生時代に何をしたかが重要で、それをまとめ
プレゼンテーションできているか(サービス)

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いかがでしたでしょうか。
今回の調査では、それぞれ200前後の企業様・大学様と900名近くの学生さんのご意見を集約してお伝えする予定です。

本メルマガで触れたテーマ以外にも、
・基本的な学生就活動向・企業採用動向
・25卒以降のインターンシップ新ルール(三省合意)について
・新ルールでの活動変化予測
・内定出し/取得時期と、インターンシップ参加の関係性
・25卒以降のインターンシップ新ルール(三省合意)について
・AI採用・job型採用
といったテーマについて、各種データからの分析コメントを掲載予定です。

昨年度版(抜粋版)は以下からご確認いただけます。
https://www.careerpartners.co.jp/laboratory/report/

その他、定点学生アンケートなどのリリースはこちらからご確認ください。
https://www.careerpartners.co.jp/laboratory/

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