2022.06.14メールマガジン

【キャリアセンター長・インタビュー】実践女子大学 学生総合支援センター キャリアサポート部 次長 内田 雄介氏

上流階層の女子教育にたずさわっていた下田歌子は、先進的な女子教育を視察するため、約2年間にわたり欧米8カ国を訪問。この経験が契機となり、日本における一般女性の教育の必要性を痛感することとなる。帰国から3年後の1898(明治31)年に「帝国婦人協会」を結成し、翌年に実践女子大学の前身となる実践女学校と女子工芸学校を設立。以来、120年以上にわたり創立者の想いを実践した女子教育をおこなっている。

今回は、実践女子大学 学生総合支援センター、キャリアサポート部次長の内田 雄介氏にお話を伺った。

◆学生支援システムJ-TASの導入
本学は、創立者下田歌子の「女性が社会を変える、世界を変える」という想いを“建学の精神”として掲げ、実践主義を重視した女子教育をおこなっています。創立から120年以上もの時間が経ち、当時とは女性の社会的な地位や役割は大きく変化しました。活躍できるフィールドも広がっています。今の時代にあわせた新しい教育スタイルが求められていると言えるでしょう。

こうした背景から、2019年4月に新たな学生支援制度J-TAS(Jissen Total Advanced Support)(※1)をスタートしました。入学前から卒業後まで、学生が自信を持ち、成長を実感できる学びの時間を提供することを目標としています。具体的な支援内容として重視していることは、「アクション総量を増やす」「リフレクションと教職員のフィードバック」などです。それらを学生個々の成長記録としてJ-TASシステムで共有しています。

J-TASを活用した支援を充実させるため、事務組織の改編もおこないました。2018年にはキャリアセンターと学生支援センターを統合して「キャリア・生活支援課」となり、さらに「入学支援課(旧入試センター)」「修学支援課」などを含めて、ワンストップで学生支援をおこなう「学生総合支援センター」を設置(※2)。
*2022年にはキャリア・生活支援課の業務整理を行い、「キャリアサポート部」に改編。J-TASシステムには正課内外のさまざまな活動が記録されているので、それらを学生支援スタッフで共有しながら、学生一人ひとりの状況にあわせた適切なサポートを目指しています。

◆キャリア・就職支援プログラムの見直し
この流れを受けて、キャリア・就職支援プログラムも見直しました。数年前から一般事務職の求人が少なくなるなど、世の中の変化を感じており、コロナ禍でその変化はさらに加速したことも、見直しの良いきっかけになったように思います。既存のプログラムを整理し、新たな取り組み案を検討していきました。

従来の支援プログラムをターゲット別にマップ化してみて、気付いたことがあります。キャリア意識や就業意欲が高い層に向けたプログラムは豊富にある一方で、そうでない層のキャリア意識を醸成する支援プログラムが少ない。こうした課題が見えてきたことで、手薄な支援分野を低学年から強化していくという改正案の方向性が決まりました。

取り組みはすでに始まっています。今春から「実践キャリアスタートアッププログラム」という低学年キャリア支援プログラムが始まりました。すでに1年生の98%が参加しており、まずまずのスタートと言えます。4年間でチャレンジしたいことや目標の言語化をしてもらったのですが、今後これをリフレクションワークへとつなげていく予定です。

低学年から「自らアクションを起こして、リフレクションをおこない、成長を実感する」という成長プロセスが身に付けば、その後の大学生活を通して、自らの意思でキャリア形成していくことができるでしょう。これに合わせて、成長プロセスの定着をうながすため、「リフレクションデイ&ウィーク」や「Jissen Student’s Reflection Award」など、新たなプログラムも導入しています。

◆アクション総量を増やす取り組み
リフレクションだけでなく、アクション総量を増やすことも重要です。正課内外で、成長するための機会提供を常に心掛けています。先月も日本相撲協会と本学がコラボして開発した相撲グッズを、五月場所の期間中、学生ボランティアが半被を着て販売しました(※3)。日本相撲協会との産学連携プロジェクトは、もう5年目となっています。

東京2020オリンピック・パラリンピックプロジェクトは、2014年に大学連携協定を締結して以降、8年間にわたる大規模な取り組みでした。オリンピック・パラリンピックを題材とした授業の実施、学生主体のイベント開催など、数多くの取り組みがおこなわれました。最終的にのべ1万人強の学生が参加した本プロジェクトの様子は、一冊のレポートにまとまっています(※4)。

今後は海外インターンシップなど、さらに新しい取り組みを導入して、学生のアクション総量を増やすための支援をしていきたいですね。受け身の選択ではなく、自らの興味関心から選択した能動的なアクションで成長してもらう。そんな4年間を過ごすことができれば、学生から社会人への移行はもっとスムーズになるはずです。

◆共に成長を見守る教職員の連携
J-TASでは「卒業後まで」支援の対象としています。具体的には、卒業後10年程度の卒業生支援を構想しており、個別のキャリア相談やJISSENキャリアセミナーといったイベントなどを実施(※5)。「キャリア支援×学び支援」で卒業後も一人ひとりのキャリア形成を応援していきます。

「入学前から卒業後まで」のさまざまな取り組みが、J-TASという学生支援システムを軸に動き出しました。学生総合支援センターでは、ワンストップサービスを提供することで、お互いの取り組みや情報が共有できるようになり、主業務以外にも仕事を担う業務シェアリングが日常的におこなわれています。

教員とも学生情報を共有できるため、教職員が協力して学生の成長を見守る体制も浸透してきました。教員との連携により、学生の進路把握がほぼ網羅できるようになるなど、教職協働を推し進めることにより、就職支援も手厚くなっています。まだまだ進めていくべきことはありますが、新しいことに取り組む組織風土は定着してきたので、「自己成長を実感する」さらなる学生支援を目指してまいります。

◆これからの実践生に望むこと
本学学生はリーダーを求められればリーダーを、フォロアーが必要であればフォロアーを担える柔軟性を持ち合わせたところが魅力の1つでしょう。出しゃばることはないが、芯があり、状況に応じた行動で、いざというとき頼りになる。そんな言葉も人事担当者からたびたびいただきますます。こうした従来の実践生の魅力に、J-TASという新たな実践主義が影響を与え、さらなる魅力が加わるのではないかと期待しています。すこし尖ったタイプの学生が輩出できたら面白いですよね。

学生が目指すキャリアはさまざまです。私たちができることは機会提供まででしょう。そこから多くの経験を重ね、自らが望むキャリアを見出せるような大学生活を送ってほしい。そして、就職活動すらも「自身の成長機会」であると前向きに捉え、納得いくキャリア選択をしてほしい。そのために必要な支援を今後も実践してまいります。〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
J-TAS(Jissen Total Advanced Support)
https://www.jissen.ac.jp/j-tas/

※2
「学生総合支援センター」の設置について
https://www.jissen.ac.jp/notice/20181101.html

※3
日本相撲協会とのコラボグッズ販売(昨年の様子)
https://www.jissen.ac.jp/life/topics/year2020/20210119_news1_sw.html

※4
東京2020オリンピック・パラリンピックプロジェクト
https://www.jissen.ac.jp/jj2020olypara/digitalbook/HTML5/pc.html#/page/1

※5
卒業生向けキャリア支援
https://www.jissen.ac.jp/career/graduate/index.html
───────────────────────────────────
<大学データ>
●実践女子大学
https://www.jissen.ac.jp/

○日野キャンパス
住所:〒191-8510 東京都日野市大坂上4-1-1
TEL:042-585-8817(代表)

○渋谷キャンパス
住所:〒150-8538 東京都渋谷区東1-1-49
TEL:03-6450-6817(代表)

○学生総合支援センター キャリアサポート部 *6月1日組織変更
日野キャンパス TEL:042-585-8825
渋谷キャンパス TEL:03-6450-6821
E-mail career-u@jissen.ac.jp

[学部・学科]
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