2022.01.25メールマガジン

キャリアセンター長・インタビュー】北星学園大学 就職支援課 課長 前村 俊一郎氏

1887(明治20)年、宣教師サラ・C・スミスによって設立された「女子寄宿学校」を源流とし、1894(明治27)年に「北星女学校」と改名した。この校名は当時の役員であり、授業科目も担当していた新渡戸稲造の助言があったと言われている。

1951(昭和26)年には「北星学園女子短期大学」を開設。そして1962年(昭和37)年に、男女共学の北星学園大学を開設し、2002年(平成14)には短期大学も共学となり、現在では約4,200人の学生を擁する総合大学へと成長した。

創立者スミス氏がアメリカから持参したライラックは、この地に根付き、校花として大切に育てられた。いまではキャンパスのみならず札幌の各処にも植えられ、札幌市のシンボルツリーとなっている。

今回は、北星学園大学就職支援課、前村 俊一郎課長にお話を伺った。

◆お互いの顔が見えやすいキャンパス
本学は、キリスト教を基に創設された北星学園に属する大学として、「人間性」「社会性」「国際性」を備えた人材の育成を目指しています。発足時は文学部英文学科と社会福祉学科のみでしたが、現在では3学部8学科、短期大学部、大学院を擁するまでになりました。

伝統的に英語教育には強みがあり、札幌市と米国オレゴン州ポートランド市との姉妹都市提携に伴い1965年に協定を結んで以来、欧米・アジアの協定校との交換留学をはじめとして、グローバルな視点を育み、異文化への理解を深める教育にも注力しています。

また、同じく大学開学当初から設置されている社会福祉学科(当時の名称)による福祉分野の人材育成にも定評があり、多くの卒業生が中心的役割を担い活躍しています。

所在地は大通駅から地下鉄で約15分、そこから徒歩5分と、アクセスしやすい場所にあります。1学年は900名強で、およそ4,200名の全学生が1つのキャンパスで学んでいます(※1)。施設の中心には、四季折々に美しく変化する中庭があり、学生たちの憩いの場となっています。

また、ラウンジやカフェ、ラーニングコモンズなど、建物内にもさまざまな
場所に学生同士が集えるスペースがあり、寒さが厳しくなる冬場でも、
思い思いの場所で楽しげに会話する学生たちを見ることができます。

お互いの顔が見えやすい程よい距離感で、学年も専攻もクロスして学生同士が交流を深めるスタイルは、本学キャンパスの特徴と言えるでしょう。こうした環境は、教職員を含めた大学全体のコミュニケーションを自然と促し、学生支援のベースとなっているように思います。

◆メンバーによる現場主体のキャリア・就職支援
新型コロナへの対応を迫られた約2年前は、オンライン化を進めるため、さまざまな取り組みが教職員からのボトムアップで動き出しました。有志メンバーが支援チームを立ち上げ、オンライン授業の勉強会を実施したり、必要なシステムや機器の準備をしたりと、各部署が連携しながら対応を整えていきました。学生向けにも、プロジェクトチームによるマニュアル作りやSNS配信など、日ごろの交流が功を奏して円滑に進んでいったように感じます。

私が現職に着任したのは、最初の緊急事態宣言が発出された2020年春です。入職して最初の配属先が就職課(現、就職支援課)でしたので、20数年ぶりに古巣に戻ってきたわけです。しかし、当時はハガキで資料請求する時代。情報サイトやSNSを駆使したインターネット中心の就職活動に見識があるわけも
なく、その上、オンライン就活という新たな対応を迫られる状況でした。着任当初は、メンバーからのボトムアップで1つずつ支援体制を整え、手探りでここまで進めてきました。

WEB面接を受けるためのスペースを用意したり、面談のためのオンライン環境を整えたりと、支援体制がスムーズに整えられたのも、就職支援課メンバーによる働きがあったからでしょう。大きな方向性は大学組織であるキャリアデザイン支援委員会で確認しますが、実際の支援の中心は、日々学生と接しているメンバー主体でおこなわれています。

今後の課題としては、いかに学生動向やニーズを把握するかが挙げられるでしょう。教員を通してイベント情報などを届けられても、学生の意向に沿っていなければ効果を上げることはできません。オンラインアンケートを試みるなど、今はさまざまな試行錯誤を行っているところです。

また、支援プログラムの増加も懸念材料です。従来の内容に加え、オンライン就活が加わったことで内容は増え続け、メンバーの負荷は高まっています。従来のやり方自体を見直す時期なのかもしれません。

◆大学生活を尊重したキャリア教育
学生のキャリア選択は、それぞれのスタイルやタイミングがあって良いと思っています。早期からキャリアについて考え、熱心に就職活動に取り組むことだけを望んでいるわけではありません。それを求める学生には必要な支援を届けつつ、最後まで部活動や課外活動、学業などに注力したい学生にも、その意志を尊重した対応を大切にしています。

本学では、毎週水曜日の3講目がキャリア・就職支援関連の専用枠として、キャリア科目以外の授業が一切おこなわれません。そのため、学業を阻害することなくイベントや講座の実施が可能です(※2)。学生にも「水曜3講はキャリア・就職」という認識が定着しているので、部活動や課外活動が損なわ
れることは少ないでしょう。それぞれの充実した4年間を何よりも重視したいと考えています。

1年次は「学びとキャリア形成」という必修授業があり、2年次には「職業と人生2」を多くの学生が履修します。これらの低学年向けキャリア教育を通して、卒業後の人生の土台となるようなキャリア観を涵養してほしいですね。学生の意識は、就職活動に有利となる資格取得やテクニックに向きがちですが、まずは心身ともに成熟していくことが先でしょう。

3・4年次には、就職支援課主催で「キャリアデザインプログラム」を開講しています。学生が目指すキャリアは民間企業、教員、公務員と多種多様です。航空分野を目指す学生も少なくありません。福祉という同じ分野であっても、民間企業や施設・病院など就職先は多岐にわたります。それぞれに異なる就職活動を、できる限りきめ細かく支援することを心掛けています。

◆主体的なキャリア選択の重要性
昔と違い、今は驚くほど多くの就職サービスが存在します。学内の就職支援と違い、知り合いの目を気にしなくてよい外部サービスに魅力を感じる学生もいるでしょう。必要に応じて、上手く活用してくれれば問題ないのですが、サービスを利用するのではなく、利用されているのでは・・・と不安を覚える
ケースも増えています。

例えば、個別ニーズや条件にあった企業を紹介してくれる新卒エージェントなどは、利便性の高いサービスと言えます。しかし提供される情報がビジネスの一環であることを頭では理解していても、就活中という不安のなかでは、どうしても依存する気持ちが強くなりがちです。便利な就職サービスが増えて
いるからこそ、主体的にキャリアを選択するチカラが重要になっています。

充実した大学生活を通して、「人間性」「社会性」「国際性」を身に付け、社会のさまざまな場所で、各分野のエキスパートとして「ナンバーワンよりオンリーワン」な人材として活躍してくれることを願っています。4年間という時間をかけて自らを磨き、巣立つ準備を整える。そのための支援を、メンバーとともに提供していきたいと思っています。〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
キャンパス紹介(バーチャルツアー)
https://www.hokusei.ac.jp/campusmap/

※2
キャリアデザインセンター
https://www.hokusei.ac.jp/carrer/career_center/

───────────────────────────────────
<大学データ>
●北星学園大学
https://www.hokusei.ac.jp/

〒004-8631 北海道札幌市厚別区大谷地西2-3-1
TEL 011-891-2731(代表)

就職支援課(B館1階)
https://cgw.hokusei.ac.jp/career/
TEL:011-894-3771
FAX:011-894-3772

企業向け(求人票)
https://www.hokusei.ac.jp/company/

[学部・学科]
文学部
英文学科、心理・応用コミュニケーション学科
経済学部
経済学科、経営情報学科、経済法学科
社会福祉学部
福祉計画学科、福祉臨床学科、福祉心理学科
短期大学部
英文学科、生活創造学科

[大学院]
文学研究科、経済学研究科、社会福祉学研究科

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