2021.04.13メールマガジン

【22年卒採用ミニレポート 20201年04月版】

本メルマガでは、さまざまな学生調査データをもとに、採用選考の気になる動向についてレポートしていきます。今回は、各就職ナビが出している内定率について考察してみたいと思います。

◆就職ナビによる内定率の違い
各就職ナビが発表する内定率には、差異があります。調査期間や登録学生に違いがあるので、当然と言えば当然ですが、ある程度時期をそろえて数字を並べることで、見えてくることがあります。

<22年卒と21年卒の内定率比較(3月)>

21年卒        22年卒
─────────────────────────────
15.9%(3/1~3/ 5) 21.1%(3/1~3/4)キャリタス就活
10.4%(3/1~3/ 5) 10.0%(3/1~3/3)マイナビ
15.8%(3/1~3/16) 17.6%(3/1~3/4)リクナビ

代表的な3つのナビで、21年卒と22年卒の3月内定率をまとめてみました。まず21年卒では「キャリタス就活」が15.9%で、「マイナビ」は10.4%という結果です。「リクナビ」は、キャリタス就活と同程度ですが、調査期間が3月16日までと長いため、それを加味すれば、マイナビ以上、キャリタス就活未満といった感じでしょうか。

同傾向は、22年卒でより鮮明になっています。キャリタス就活21.1%、リクナビ17.6%、マイナビ10.0%と、同時期で調査されているため、数字の違いが明らかになりました。最大値と最小値の差異を見ると、21年卒は
5.5ポイントですが、22年卒では11.1ポイントと広がっています。ナビによる内定率の違いは、拡大傾向にあるようです。

◆各属性による内定率の違い
3月という早いタイミングの内定率には、他社よりも早く獲得したいターゲット学生像が反映されやすくなります。それを踏まえて、文系と理系、男子と女子という属性別の内定率を見てみましょう。

<22年卒、属性別の内定率比較(文系・理系)>

文系  理系
─────────────────────────────
19.8% 28.6% ※ 8.8ポイント差 リクナビ(3/11~3/15)
20.3% 31.9% ※11.6ポイント差 ブンナビ(3/ 1~3/15)

<22年卒、属性別の内定率比較(男子・女子)>

男子  女子
─────────────────────────────
25.5% 19.3% ※6.2ポイント差 リクナビ(3/11~3/15)
28.1% 21.4% ※6.7ポイント差 ブンナビ(3/ 1~3/15)

ともに文系より理系が、女子より男子が高い内定率となっています。ちなみに、内定率と相関性が高い活動量では、内定率の低い属性(文系、女子)の方が企業接触は高くなっています。例えば、会社説明会の参加社数で言えば、文系11.5社、理系8.7社、男子10.3社、女子10.8社です(ブンナビ3月上旬調査より)。属性別の内定率は、活動量ではなく、企業ニーズがより反映された数字と言えます。

理系の高い内定率には、DX人材などテクノロジーに強い学生を求める姿勢が影響しているのでしょう。一方、男女の差異には、複数の要因が考えられます。性別によるニーズ差がないとは言えませんし、男女の文理比率の違いもあります。弊ブンナビ調査の回答学生で見れば、男子の文理比は約1:1ですが、女子は約3:1と文系割合が多くなります(ブンナビ3月上旬調査より)。しかし、複合的な要因とは言え、これだけの差異が生じているという認識は持っておくべきでしょう。

◆より細分化していく学生動向
さらに細かく4属性(文系男子・理系男子・文系女子・理系女子)で数字を見ることもできます。

<22年卒、属性別の内定率比較(文理×男女)>

文系男子 理系男子 文系女子 理系女子
─────────────────────────────
20.2%  23.0%  20.3%  21.1% キャリタス就活(3/1~3/4)
10.2%  12.7%   7.8%   9.3% マイナビ(3/1~3/3)

キャリタス就活の最大値は「理系男子(23.0%)」で、最小値は「文系男子(20.2%)」です。差異は2.8ポイントで、それほど大きくはありません。一方、マイナビの最大値は「理系男子(12.7%)」で、最小値の「文系女子(7.8%)」との差は4.9ポイントです。数字の開きは異なりますが、「理系男子」の採用選考が最も進んでいることは確かなようです。ニーズの高さが伺えます。

さまざまなカテゴリーで内定率を見てきましたが、属性別の差異は年々大きくなっているように感じます。採用選考の複線化が進んでいますし、企業の採用戦略にも違いがあります。大きな主語で「22年卒生は…」と捉えるのではなく、より細分化した小さな主語で、学生動向を見ていく必要性が高まっていると言えるでしょう。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

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