2020.06.30メールマガジン
コロナ禍の中で就活学生が好印象と思った企業の対応
新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除されて1か月が経った。最終面接を残していた大手企業が、6月中旬から一斉に採用活動を再開、6月末には21採用が終了する見通しとなった。この動きとともに22卒の採用活動がスタートした。そこで、今回は、今年の3月から5月末までのコロナ禍のなかで、就活をした学生たちが、企業の採用活動をどう受け止めたのか、その印象を当社の学生アンケート調査から紹介しよう。
まず、この間の企業の採用活活動や学生への対応に良い印象をうけたという学生の声。
「説明会、質問会、面接などがすぐにWebに変更となり、最終面接もWeb化することをいち早く告知、今後の選考フローの日程を明確に示す対応に好感を持った」(精密機器販売)
「説明会中止の連絡とともにwebでの動画配信を増やしたり、インスタライブを導入したりして会社のリアルを知ってもらう姿勢が学生に安心感を与えてくれた」(運輸サービス)
「説明会が中止になったが、すぐに追加の企業紹介コンテンツをマイページに掲載し、会社案内や新入社員のメッセージ集を郵送してくれた対応が嬉しかった」(情報サービス)
「個人面接をWebにするか、1か月後に対面にするか、を学生に選択させてくれたのは良心的だと思った」(光学機器メーカー)
「3月上旬からからは、web面接に切り替わり、スケジュールどおりに進行したが、5月末の最終面接だけは、短時間だったが、あえて対面形式となったのは、学生に安心感を与えてくれた」(食品)
「一次面接通過者全員に電話をかけて、会社の状況を説明、今後の選考について丁寧に応対してもらえたのはよかった」(銀行)
「説明会が中止になったが、申し込みをしていなかった各事業分野のセミナーまで全員がWebで見られるようになり、企業の理解がより深まった」(エレクトロニクス)
「コロナで面談する機会がなくなった部長クラスの方をウェブセミナーに呼び、学生との対話の場を設けてくれた。大変な時期にもかかわらず、そういった場をすぐに設けて実行する企業に熱心な採用姿勢を感じた」(損保)
「説明会参加を必須としていた企業だが、アルコール除菌やマスク着用、検温などコロナ対策を徹底しながら1回あたりの人数を減らして回数を増やすことでリアルな説明会を最後までやりきったのはすごいと思った」(マスコミ)
「内定誓約書の提出期限を延期していただいた。このことでその企業の余裕と自信が感じられて志望度が上がった」(エネルギー)
では、こうした好評価とは逆に学生を困惑させたり不安にさせたり、残念な印象を持たれた企業とは、どんな対応をしていたのか、いくつか紹介しよう(企業・業界名は略)。
「緊急事態宣言が出たため不安になり、選考中の企業に自分から連絡して選考延期を知ったが、ホームページにその旨を書くとか、メールで連絡するべきだ。近く、連絡しようと思っていたというのが企業の釈明だが遅すぎる」
「最終面接は1週間後といわれていたが、緊急事態宣言もあって実際には3週間も空いた。その間、まったく連絡なし、とても不安で企業不信に陥った」
「会社説明会の当日、突然、会場受付でwebセミナーにするといわれ、オフィスの1室に集められ、本社とテレビ電話とスライドを見せられながらの説明会を30分ほどした。 部屋には学生以外誰もいなかった。これなら最初からweb説明会でも良かったのではと思った」
「企業が用意した選考会場に行くにあたり公共交通機関を利用したのですが、利用したことでコロナウイルスに感染しても企業は責任を負わないという誓約書を書かされました。こういう企業は、不愉快です」
「コロナ禍のピーク時に能力・適性検査をテストセンターに行って受験してほしいという案内を受けた。こんな時期なのでキーボードに触るのが怖かった」
「緊急事態宣言後、一方的に5月中旬までは、一切の選考に関する連絡をしないと言われた」
「コロナによって大きな影響を受け、業績悪化、採用中止か、と報道されている企業を受験したが、ホームページは無理としてもwebでの会社説明会や面接ではこうした経営や採用についての現状を学生向けに説明してほしかった」
「選考中の会社から急に、今年の新卒採用は中止になったため、この先、選考に進んでいただくことはできませんと言われた。いくらこの状況でもその会社を第一志望にして必死に準備していた学生も多いと思うので、それなら途中からでも採用は未定とか、検討中などと発表しておくべきだ」
「最終面接は、対面型なので地方学生も東京本社訪問をしないといけないという企業には困ってしまい、結局、その企業への応募はあきらめた」
「試験会場での体調確認は、自己申告だけ。誰でも通過できて試験会場に入室、そこではグループディスカッションをしたが、部屋は、狭く、換気をしないまま討論、一つの小さな部屋に8人で話し合うのは相当なリスクではないかと感じた。今年の選考にグループディスカッションは必要ないと思う」
「早期に内定を出したことから、内定承諾の時期を繰り上げ、3月中旬には、就職活動を終えるよう強制するというオワ活をした企業」
「自粛中にもwebでの面接を一切せず、社員のリモートワークをさせない企業です。社員の健康や生命を守ろうとする姿勢のない企業と思わざるを得ません。そんな企業に就職することに不安を覚えました」
このようにコロナ禍における21採用は、未曾有の混乱のなかで、取り組まれ、上手に乗り切った企業や不手際のあった企業など様々だった。それでも大手企業に限って言えば、採用活動は、前年より一か月遅れのスケジュールとなって、とにかく終了した。今年の採用活動の総括は、次の機会としたいが、危機的環境下での学生の就活や就職観は、今後の採用活動の留意点として記憶しておいてよいだろう。(夏目孝吉)
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