2015.06.02メールマガジン
スーパーグローバル大学・インタビュー/東京大学 グローバルリーダー育成プログラム推進室 高瀬 裕子氏
文部科学省が昨年9月にスーパーグローバル大学として、トップ型13校、グローバル化牽引型24校を指定した。各種の世界大学ランキングで常に国内トップの座を維持している東京大学は、当然の如く“トップ型”に選出された。
しかし、同大学では以前からグローバル化の動きを活発化させている。「Global Leadership Program(GLP)/東京大学グローバルリーダー育成プログラム」は、その一つと言えるだろう。国際社会のなかで活躍できる指導的人材の育成を目的として、スタートからすでに2年目をむかえた。
今回は、東京大学グローバルリーダー育成プログラム推進室、特任専門員の高瀬裕子氏にお話を伺った。
◆GLPは学部4年間にわたる教育プログラム
本プログラムは、大学1・2年次の「GLP1」と、3年次以降の「GLP2」で構成されています。「GLP1」では“GLP指定科目”により、実践的外国語能力の獲得やグローバル教養の涵養、実践力・課題解決能力の育成を主としています。トライリンガル・プログラム(TLP)(※1)のコースもの中の一つとしてスタートしました。
「GLP2」は3年次以降が対象となり、来年度からのスタートに向けて、今秋より履修生募集を始めます。この後期学部課程のGLP2プログラムを、GEfIL(Global Education for Innovation and Leadership)と呼んでいます。GEfILの履修生として、一定の条件を満たした学生を対象に、約100人を選抜する予定です。
一定の条件とは、
1.GLP指定科目6単位以上(3区分中2区分以上の履修)
2.TOEFL iBT 100以上レベルの英語によるコミュニケーション能力
3.3年(後期学部課程)に進学が内定していること
4.本プログラムを履修する強いモチベーションがあること
としています。英語力をはじめ、相応なチャレンジを求められるプログラムです。
◆濃密なカリキュラム構成
それには理由があります。GEfILの履修には、かなりのタフさが要求されます。
<カリキュラム、4つの骨子>(※2)
・GEfIL実践研究/6つのテーマ群から課題を設定して、研究を行なう
・GEfILサマースクール/世界トップレベル大学のサマープログラムへの参加
・グローバルリーダー講義/講義の準備から実施、講演者との交流
・GEfIL共通授業科目/GEfIL対象の授業科目の履修
上記のプログラムを修めれば、“GLP-GEfIL修了証”が交付されますが、学部の卒業要件の対象となっていない内容も多いため、学生からすれば、二重の負荷がかかることになります。
グローバルな問題意識や情熱がなければ、修了証を得ることは難しいかもしれません。英語力などのスキルも重要ですが、モチベーションや意欲の強さが必須です。そのため、選抜にあたっては、書類審査通過者を対象に面接を行ない、想いの強さを確認していきます。
◆垣根のない育成プログラム
学生に強いモチベーションを求める以上、こちらもその想いに応えなければなりません。GEfILのメインプログラムとも言える実践研究では、6テーマ群から1つを選び、研究課題に取り組みます。専攻学部とは異なる分野を選ぶことが可能で、各テーマには、本学を代表する教授陣が指導にあたります。学生は、専攻とは別に、副専攻のような位置づけで、テーマ分野の最先端研究に触れることができる、すなわち、学部横断型プログラムとして、学部の垣根を越えて、学ぶ機会を得るのです。
サマースクールでは、国内外の垣根を越えていきます。世界の多様な価値観と触れ合い、経験を積むことで、グローバルな視野を得ていくことでしょう。世界で起きている課題に触れながら、自らの力を発揮する居場所を見つける手がかりとなるはずです。
GEfILは、学術目的のみのプログラムではありません。アカデミックな方法論を用いた人材育成プログラムです。知識を得て終わりではなく、それを社会に還元していく、大学というフィールドを越えて、多くの企業や機関とつながることを手段の一つとしています。このプログラムにおける私の役割は、外の世界とのつながりをより強くしていくことです。
◆継続していくための支援づくり
本プログラム、特にサマースクールを履修するにあたっては、学生は費用面の不安を避けて通れません。世界トップレベルの大学から厳選したサマープログラムを用意しているため、参加費用は決して安くないからです。
ありがたいことに、現在、21社の企業様から後援・協力をいただいております。その寄付をもとに、奨学金を用意できる運びとなりました。改めて心より感謝申し上げます。あわせて、充実したプログラムを継続的に提供するため、今後とも、より多くの企業様から本プログラムにご賛同とご支援いただければ幸いと考えています。
高い目標とハードな内容に対して「やってみたい!チャレンジしてみたい!」と手を挙げる学生はとても魅力的です。彼らに、可能な限り最適な支援を提供し続けたい。そんな想いでいます。
◆GEfIL修了生が目指すキャリア
協力いただく組織や人や通じて、GEfIL自体が多様なリソースの交差する場となれば、グローバルリーダーとしての資質をもった彼らは、大きく成長していくことでしょう。
私自身、前職で経験してきた海外赴任やグローバル企業でのマネジメント体験から、本プログラムの有用性を強く感じています。
将来、GEfIL修了証を手にした学生たちが、世界のさまざまな場所で活躍していることを望んでいます。「へぇ、あの人もGEfIL修了生なんだ」。そんな風に言ってもらえれば嬉しいですね。国際社会に良い影響を与えられる人材を輩出し続ける教育機関を目指して、今後も頑張ってまいります。
※1 トライリンガル・プログラム(TLP)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/academics/zenki/tlp/
※2 GEfILカリキュラム構成
GEfIL実践研究 http://www.glp.u-tokyo.ac.jp/gefil/id=19
GEfILサマースクール http://www.glp.u-tokyo.ac.jp/gefil/id=18
グローバルリーダー講義 http://www.glp.u-tokyo.ac.jp/gefil/id=17
GEfIL共通授業科目 http://www.glp.u-tokyo.ac.jp/gefil/id=31
[15.06.02]
就職情報研究所 平野恵子
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