2015.03.03メールマガジン

キャリアセンター長インタビュー/東北学院大学 就職キャリア支援課長 土田 惠介氏

メインキャンパスの正門をくぐると、そのすぐ先に風雪を経てもなお逞しいゴシック様式の本館が目に入る。右手側を見れば、趣のある石造りの礼拝堂(ラーハウザー記念礼拝堂)がしっとりと佇む。キャンパス内にある最も古い建物は、1886年(明治19年)に建てられたデフォレスト館。同年に前身である「仙台神学校」が開設されたので、今年で創立129年をむかえる。
今回は、東北学院大学、就職キャリア支援課長の土田惠介氏にお話を伺った。

◆全学部共通のキャリア教育科目を新設
開学以来、キリスト教にもとづく豊かな人間教育を主軸にしています。「よく生きようとする態度をもつこと」は、本学のディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)の最初に挙げられている言葉です。これは社会で力強く生きていくための“人間力”とも言えるでしょう。この“人間力”育成を色濃く反映させた教育プログラムがTGベーシック(※1)です。

このTGベーシックの一つに、就職キャリア支援課が中心となって新設された授業があります。「キャリア形成と大学生活」というキャリア教育科目です。2013年度から大学1年生を対象にスタートしました。

以前は、各学部が独自に実施していたのですが、2011年度に「キャリア教育検討委員会」をつくり、全学部協力のもと統一プログラムを作り上げてきました。

スタートから3年目となる来年度には規模を拡大して、学部共通のキャリア教育科目となることが決まっています。履修対象者の増加に合わせて、コマ数も6クラスから10クラスに拡大。学生同士が主体的に関わるアクティブ・ラーニング型の授業は、学生から高い評価を得ています。

今後は、質を保ちつつ量に対応できるよう、さらなる充実を目指していきます。ゆくゆくは必修科目として運営が可能なように30クラス体制を視野に入れていきたいですね。

◆学生は自らの成長に貪欲
学生からの評価が高い背景には、次ステップである「社会人」を彼ら自身が強く意識しているからでしょう。自分に何が必要なのか、どう成長していけばいいのか。必ずおとずれる社会人への移行に向けて、必要なスキルや知識、コンピテンシーなどを得たいと考えるのは、ごく自然なことです。

また、昨今は自己効力が低い学生も少なくありません。内定を得られそうにない、社会人としてやっていけそうにないなど、将来への不安を抱きつつ、そこから抜け出したいともがいています。

授業の主たる目的は、将来のキャリア形成に向けた成長の方向を示し、大学生活を成長の場にするための気付きを提供することです。それが自らの成長を望む学生ニーズと一致したのでしょう。

就職活動は、学生にとって生まれて初めての経験であり、次々と提供される未知の情報に戸惑うのは仕方のないことです。分からないことが多すぎて、学生は直接メリットにつながる即効性のある答えをほしがります。しかし、それでは成長につながりませんし、自己効力を得ることもできません。

未知の状況のなかでも、自ら考え行動できる人間力は、時間をかけて経験の中から体得していくしかありません。時間はかかりますが、私たちは実社会に出てから通用する人間を育成したいのです。「キャリア形成と大学生活」という授業が受け入れられているのは、そうした想いをどこかで理解してくれているからだと感じています。

◆キャリアの専門家として支援
本学生の特徴として、堅実さや愚直さを評価していただくことが多いように思います。面接で話すエピソードなども、派手なパフォーマンスと言うより、日常的な努力や小さなチャレンジの積み重ねだったりします。

そこに持ち味があるのに、対策本などに感化されすぎて、妙な方向で自己PRをする学生がたまにいます。また、エピソードのインパクトにこだわりすぎて、自分の強みが表れにくい体験談を伝えているケースもあります。

こんな風に迷路にはまったときは、専門家の支援が必要でしょう。とは言っても、テクニカルな指導は極力避けています。私たちは、情報提供者ではありません。個々の学生生活をひもとき、話しを聴きながら、特性を引き出して、気づいてもらう。それが大切だと考えています。

また、面接を中心とした今の選考方法では、自分の良さを出しにくい学生も一定数います。その場合、4年生後期に採用直結型のインターンシップを紹介しています。これは国が示した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(※2)」に則って、適切な時期に運用しているものです。一週間程度、一緒に過ごすことで、短時間では見えにくい学生の特性が見えてきます。
その上で双方がよければ採用となります。2015卒生では、一定の成果を出すことができました。

キャリア支援はマス向けでは成果を出しにくいと感じます。個人やグループ単位の支援に力を入れていきたいですね。様々な制約があるので、全てが理想通りには行かないのですが、その想いと姿勢は持ち続けていたい。そう考えています。

◆出会いの場をつくっていく
本学は、地域企業との連携も重視しています。宮城県中小企業家同友会との包括連携を結び、学生との出会いの場をセッティングしています。また、文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」に採択されたため、地域共生推進機構と協力して、新たなつながりも増えていくでしょう。新しい試みばかりではありません。もともと本学は同窓会組織(※3)がとても充実しています。

これら持っているリソースを全て活かし、学生と社会人、学生と企業が、これまで以上に構えず日常的に触れ合える機会を増やしていきたいと考えています。

そのための“場”も整いつつあります。土樋キャンパス整備計画(※4)です。アクティブ・ラーニングを推進するためのラーニングコモンズに力を入れた新校舎となります。就職キャリア支援課も来年春には移転予定です。

出会いを演出するための準備は整いつつあると言えます。キャリア教育科目をスタートラインに、学内外にあるリソースに気付き、“場”を活用して、自ら成長していく大学生活を送る。そのための後押しをしていきたいですね。

実現すれば、就職活動への瑣末な疑問なども自然となくなるでしょう。実社会への不安やネガティブな誤解もなくなり、将来の方向性も見いだしやすくなるはずです。やりたいことは、まだまだたくさんあります。1つずつ実現に向けて行動していきたいと思います。

※1 TGベーシック
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/admission/characteristics/tgu/chapter3/basic.html

※2 インターンシップの推進に当たっての基本的考え方
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/sangaku2/1346604.htm

※3 東北学院 同窓会
http://www.tg-alumni.jp/

※4 土樋キャンパス整備計画
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/131209-2.html

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<大学データ>
東北学院大学
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/

○土樋キャンパス
〒980-8511 宮城県仙台市青葉区土樋1-3-1
就職キャリア支援課
TEL:022-264-6481
FAX:022-264-6486
MAIL:shushoku@staff.tohoku-gakuin.ac.jp

○泉キャンパス
〒981-3193 仙台市泉区天神沢2-1-1 泉キャンパス就職キャリア支援係 TEL:022-375-1161

○多賀城キャンパス
〒985-8537 多賀城市中央1-13-1
多賀城キャンパス就職キャリア支援係
TEL:022-368-1101

<学部>
・文学部
・経済学部
・経営学部
・法学部
・工学部
・教養学部

<大学院>
・文学研究科
・経済学研究科
・経営学研究科
・法学研究科
・工学研究科
・人間情報学研究科

[15.3.3]
就職情報研究所 平野恵子

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