2025.02.18メールマガジン

公務員採用市場・動向まとめ

公務員採用市場は近年、大きな変化を迎えています。
受験者数の減少や民間就活の早期化、採用手法の多様化など、多くの自治体や大学が対応を迫られる状況にあります。

弊社が運営する「ブンナビ公務員」も、おかげさまでサービス開始から5年目を迎え、公務員を志望する学生と自治体・大学の皆様をつなぐ役割を果たしてきました。先月実施した「公務員採用総括セミナー」では、自治体採用担当者や大学キャリアセンターの皆様とともに、令和5年度の採用市場の振り返りを行いました。

本メルマガでは、その中でも特に議論の中心となったテーマやデータをもとに、公務員採用・就活市場の最新動向をご紹介いたします。

具体的なセミナーの内容・詳細や、資料『公務員採用市総括 2025年卒(令和6年度)版』、公務員志望者向け講座実施等については、弊社社員宛にお問い合わせください。

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■TOPICS
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●地方自治体の採用試験受験者数の減少
●背景:民間企業の採用活動の早期化/試験対策の負担
    若年人口の減少/公務員の職業イメージの変化
●対策:試験科目の見直し/用時期の前倒し
    PR活動の強化/インターンシップ・説明会の充実
●大学のキャリアセンターに求められること
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■地方自治体の採用試験受験者数の減少
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近年、地方自治体の採用試験受験者数の減少が大きな課題となっています。特に若年層の労働市場における選択肢の多様化や、民間企業の採用活動の早期化が影響し、公務員志望者の確保が難しくなっています。総務省のデータによれば、2023年度(令和5年度)の地方公務員採用試験の受験者数は399,199人で、前年度から39,452人減少し、競争率は4.6倍(前年比-0.6pt)で、過去30年間で最低水準となりました。

この傾向は全国的に見られ、各自治体では対策を講じていますが、根本的な解決には至っていません。今回は、受験者数減少の要因を分析し、自治体が実施している対策、そして今後求められる採用戦略について考察します。

1.受験者数減少の背景
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地方自治体の採用試験の受験者数が減少している背景には、以下のような要因が挙げられます。

[1] 民間企業の採用活動の早期化
民間企業の採用活動が前倒しされていることにより、公務員試験を受験する前に民間企業から内定を得る学生が増えています。例えば、大手企業では3年生の夏からインターンシップを実施し、年内には内定が出るケースも珍しくありません。一方、公務員試験の本格的な試験は4年生の夏以降に行われるため、試験を待たずに民間企業への就職を決める学生が増加しています。

[2] 試験対策の負担
公務員試験は、一般企業の採用試験と比較して試験範囲が広く、専門的な勉強が求めらるケースもあります。そのため、公務員試験の勉強を続けることが負担となり、志望を断念する学生も少なくありません。しかしながら、この点は自治体側の改善も進んでいます。

[3] 若年人口の減少
前述の通り、日本全体で少子化が進んでおり、大学生の総数自体が減少しています。このような人口減少の影響は、特に地方自治体の採用試験に顕著に現れています。

[4] 公務員の職業イメージの変化
かつては「安定した職業」として人気があった公務員ですが、近年では「仕事のやりがい」や「成長の機会」を求める学生が増え、公務員の魅力が相対的に低下していると考えられます。特に、給与面での魅力が薄れたことや、行政改革による業務の変化が影響している可能性があります。

2.自治体の取り組みと課題
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受験者数減少を受け、多くの自治体では受験者の確保に向けた取り組みを行っています。主な施策を紹介します。

[1] 試験科目の見直し
従来の公務員試験では教養試験や専門試験が課されていましたが、最近では受験者の負担軽減を目的に、SPI・SCOAや論文試験に変更する自治体が増えており、民間企業との併願者の取り込みを図っています。

[2] 採用時期の前倒し
民間企業の採用スケジュールに合わせ、試験日程を早める自治体も増加しています。これにより、公務員試験を受ける前に民間企業の内定を得る学生を取り込む狙いがあります。ただし、試験日程の前倒しが進むと、準備期間が短縮されるため、十分な対策ができないまま試験に臨む学生が増えるリスクも指摘されています。

[3] PR活動の強化
各自治体では、受験者数確保のために積極的な広報活動を展開しています。特に、動画コンテンツを活用した採用広報は効果が高く、自治体職員のリアルな仕事を紹介することで、受験者の関心を引くことができます。

[4] インターンシップ・説明会の充実
公務員の仕事内容を具体的に知る機会が少ないことが受験者数減少の要因の一つです。これに対応するため、各自治体ではインターンシップや職場見学の機会を増やし、公務員の魅力を伝える取り組みを強化しています。

3.大学キャリアセンター(公務員担当)が果たすべき役割
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地方自治体の採用試験受験者数の減少に対応するため、大学のキャリアセンター(公務員担当)は、公務員志望者への支援を強化することが求められます。特に、民間企業との併願を希望する学生が増えているため、公務員試験と民間就活の両立をサポートする仕組みが重要になります。

[1] 受験機会の拡大と情報提供
公務員試験と民間就活のスケジュール調整に苦慮する学生に対し、早期からの進路相談を推奨し、試験日程やエントリー期間を整理して伝えることが必要です。特に、自治体ごとの試験日程を比較できる資料の提供や、筆記試験対策の支援を充実させることで、受験準備のハードルを下げることができます。

[2] 自治体との連携強化
地方自治体の採用活動は都市部の学生への認知が課題となっています。そこで、自治体職員を招いた説明会の開催や、公務員インターンシップの案内を積極的に行うことが有効です。また、Uターン就職を希望する学生に向けた地域別の採用情報の提供も、自治体との連携を深める一環として重要になります。

[3] 公務員と民間の併願支援
民間企業の採用が早期化し、エントリー期間が短縮される中、公務員試験との併願を希望する学生はスケジュール調整に苦労しています。キャリアセンターでは、併願を前提とした就職相談や、面接対策を公務員・民間双方に対応できる形で実施することが求められます。
公務員試験の受験者数減少の背景には、試験スケジュールの遅れや準備負担の大きさ、民間採用の早期化といった要因があります。こうした状況の中で、大学の就職課は、公務員志望者が試験準備を進めやすい環境を整え、自治体との情報連携を強化する役割を担っています。自治体との合同説明会の実施や、公務員試験対策講座の提供、公務員・民間の併願支援を進めることで、より多くの学生が公務員試験にチャレンジしやすい環境を整えることが重要です。
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いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
〔ブンナビ編集長 間宮 康之〕

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