【キャリアセンター長・インタビュー】芝浦工業大学　就職・キャリア支援部　部長　久保ひとみ　氏／キャリアサポート課　課長　星野励　氏

1927（昭和2）年、有元史郎氏が弱冠30歳のときに創設した東京高等工商学校を源流とし、創立当初から「実学重視」を堅持してきた。現在は、広大な敷地に緑があふれる大宮キャンパスと、最先端の研究施設を備えた都市型の豊洲キャンパスで、約9,500名の学生がそれぞれの専門分野を修めている。100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学でトップ10に入るという目標を掲げ、グローバル理工系人材の育成に取り組む。

今回は、芝浦工業大学 就職・キャリア支援部 部長の久保 ひとみ氏、キャリアサポート課 課長の星野 励氏にお話を伺った。

▼100周年に向けた長期ビションとダイバーシティ
本学は「社会に学び、社会に貢献する」という建学の精神のもと、社会から求められる技術者を育成し、輩出してきました。それは、これからも変わりません。

2027年の100周年に向けて、アジア工科系大学のトップ10に入るという目標を掲げ、長期ビジョン“Centennial SIT Action”として５つの課題に取り組んでいます（※1）。

–＜５つの取り組み課題＞———————————
１．理工学教育日本一
２．知と地の創造拠点
３．グローバル理工学教育モデル校
４．ダイバーシティ推進先進校
５．教職協働トップランナー
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これらの課題には、それぞれＫＰＩ（Key Performance Indicator、重要達成度指標）を設定し、教員と職員と学生が協働で推進しています。

また、「ダイバーシティ推進」の一環として、女子学生比率30％を目指し、奨学金給付制度の整備など、様々な改革を進めてきました（※2）。最近は女子学生が増えてきたことで、キャンパスの雰囲気が変わったように感じます。身だしなみに気を使い、お洒落をする男子学生が目立つようになりました（笑）。良い変化だと思います。

新型コロナの影響で減少していた海外留学生の受け入れは、かなり回復してきました。海外だけでなく、国内からも多様な学生が集うキャンパスとなるよう、1都6県以外の入学者を対象に奨学金支援をおこなっています。

「教育も研究も、ダイバーシティの中でこそイノベーションが生まれる」という考えのもと、さらに多様性あるキャンパスへと変化していくでしょう。

▼グローバル理工系人材の育成
本学は、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」（SGU）に私立理工系大学で唯一採択され、2014年度からSGU事業を展開し、グローバル理工系人材の育成に取り組んできました（※3）。

そのうちの一つに、学生の英語コミュニケーション能力の向上があります。正課英語科目にTOEIC受験を取り入れたり、年1回無料でTOEIC受験できるようにしたりと、地道な取り組みを続けてきました。現在では大学4年間で平均スコアが140点アップするなど、成果を上げています。

また「グローバルＰＢＬ」「交換留学」「海外インターンシップ」「語学研修」など、多様な海外派遣プログラムを用意し、利用できる奨学金制度も整えました。英語力や専門性のレベルに応じて、自分に適したプログラムにチャレンジできるようになっています。

本学は工学部、システム理工学部、デザイン工学部、建築学部で構成されていて、それらは7つの学問系統に分類できます。これらを横断的に学べるように、今年4月から工学部では「課程制」をスタートさせました（※4）。学科ごとの縦割りではなく、「分野横断教育」によって、主たる専門分野に加え、副専門分野の修得が可能になります。分野の垣根を超えた教育が、複雑化する社会に貢献できる人材を育んでいくでしょう。

▼教職協働によるキャリア支援
本学のキャリア・就職支援は、教員と職員が一緒になって取り組んでいます。日々の学生相談、推薦応募への対応、進路調査など、学生の近くにいる教員の方が適した支援は、学科別の就職担当教員（※5）が担います。

エントリーシート添削や面接トレーニング、各種就活講座など、採用選考時のテクニック面の支援は、キャリアサポート課が中心になって実施しています。

また、「教職協働」のキャリア教育として正課授業にも関わっています（※6）。デザイン工学科の3年生向け共通教養科目「キャリア・デザイン」では、模擬面接プログラムに協力いただく社会人ゲストを、デザイン工学科の学生に人気のある企業から選出し、アテンドしました。教職員それぞれの強みを活かした取り組みと言えるでしょう。

こうした教職協働には、就職担当教員との連携が欠かせません。職員は学科別に担当を持ち（※7）、ガイダンスの企画から実施までを協力して進めています。また、忙しい理系学生への配慮も大切にしています。年間200プログラム以上実施している講座は、学生限定のキャリアサポート課YouTubeチャンネルでアーカイブ配信するなど、利用しやすいアプローチを意識しています。

就職希望者における就職率100％を目指していますが、それだけでなく、本人が納得できる“質”の高い就職の実現に向けて、これからも尽力してまいります。

▼芝浦工大生のキャリア選択
理工系人材への注目が高まり、以前より幅広い分野から求人をいただくようになりました。学生のキャリア選択にも変化が見られます。メーカーやＩＴ関連、建設だけでなく、金融や商社、広告、経営コンサルなど、志望業界の多様化が目立ちます。学生の可能性を広げるためにも、多くの企業と連携しながら、様々な支援プログラムを提供していきたいですね。

大学院に進学する学生は増えていますが、大学3年の時点では迷っている学生が少なくありません。就職と進学、どちらを選択するにしても、私たちは3年の夏季休暇からインターンシップに参加することを勧めています。「社会に学び、社会に貢献する」人材の育成を目指す本学にとって、早い段階から実社会を知っておくことは、学問を修める上でも大きな意味を持ちます。

できるだけ多くの学生にインターンシップを経験してほしいと考えていますが、理系対象のテーマ別プログラムの場合、どうしても特定のコースに応募が偏りがちです。例えば、昨年の応募人数と受け入れ人数など、参考になるデータを掲載していただければ、少しは偏りが解消するのではないでしょうか。

本学の学生は、豊富な専門知識と真面目に取り組む姿勢を評価していただくことが多いようです。理工系人材のニーズは高く、売り手市場と言われますが、選考プロセスの複雑化によって分かりにくい部分が増え、学生の不安が強まったり、コミュニケーションのズレから、オワハラなどの誤解が生じたりすることがあります。

できる限り丁寧な説明をしていただけると幸いです。私たちも学生のより良いキャリア選択を支援するため、今後も尽力してまいります。
〔就職情報研究所　所長　平野　恵子〕

※1
長期ビジョン“Centennial SIT Action”
https://www.shibaura-it.ac.jp/about/summary/centennial_sit_action.html

※2
女子学生比率30％に向けた、芝浦工業大学の入試改革
https://www.shibaura-it.ac.jp/headline/detail/20240225_7070_903.html

※3
スーパーグローバル大学創成支援事業
https://www.shibaura-it.ac.jp/global/summary/project/sgu_plan.html

※4
学科制から課程制へ
https://www.shibaura-it.ac.jp/headline/detail/nid00002961.html

※5
就職担当教員一覧
https://www.shibaura-it.ac.jp/career_support/enterprise/staff.html

※6
社会人ゲストと「教職学協働」によるキャリア教育
https://www.shibaura-it.ac.jp/headline/detail/20230724-7070-001_1.html

※7
キャリアサポート課　スタッフ紹介ページ
https://www.shibaura-it.ac.jp/career_support/guide/career_staff_intro.html

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＜大学データ＞
芝浦工業大学
https://www.shibaura-it.ac.jp/
○大宮キャンパス
　〒337-8570 埼玉県さいたま市見沼区深作307番地

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キャリアサポート課
○大宮キャンパス（5号館1階）
TEL：048-687-5109
FAX：048-687-5018
E-mail： career@ow.shibaura-it.ac.jp

○豊洲キャンパス（教室棟2階）
TEL：03-5859-7440
FAX：03-5859-7441
E-mail： career@ow.shibaura-it.ac.jp

＜学部・大学院＞
○大宮キャンパス
工学部（1-2年生）、システム理工学部（1-4年生）、
デザイン工学部（1-2年生）、理工学研究科

○豊洲キャンパス
工学部（3-4年生）、建築学部（1-4年生）、デザイン工学部（3-4年生）。
理工学研究科

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