2025.01.21メールマガジン

【キャリアセンター長・インタビュー】神奈川工科大学 学生支援本部キャリア就職課 課長 根岸 忠宏 氏

1963(昭和38)年、大洋漁業株式会社(現、マルハニチロ株式会社)の経営者だった中部謙吉氏は「小さな規模ではあるが、費用もかからず、空気のよい所で心おきなく勉強できる学校を作り、社会の恩に報いたい」という想いを実現させ、前身となる幾徳工業高等専門学校を創立した。

1975(昭和50)年に幾徳工業大学を開学し、1988(昭和63)年には現校名に改称。2023(令和5)年には60周年を迎えた。本年度より時代の変化に柔軟に対応するため、新学科の設置や学科の大括り化などを実施し、3学部10学科に再編され、大学院6専攻、博士前後期課程も擁する理系総合大学へと発展している。

今回は、神奈川工科大学、学生支援本部・キャリア就職課長の根岸 忠宏氏にお話を伺った。

▼「すべては学生のために」の実践
本学は、創立者・中部謙吉の「このような教育機関を開学したい」という想いを形にした大学です。そのなかの1つに、開学から一貫して大切にしている「すべては学生のために」という基本方針があります。キャリア・就職支援においても、それは変わりません。

本学独自の取り組みとして、「学科就職事務室」があります。理系学生のキャリア選択は、学科により特色があります。全学科を対象にした支援プログラムだけでは、すべての学生ニーズに応えることは困難です。それゆえ、キャリア就職課の“派出所”として全学科に「学科就職事務室」を設置しています。

学生からすれば、最も身近にある就職サポート機関になります。気軽に企業情報に触れ、就職相談できるように、学生との関わりをできるだけ持つようにしています。「就職室ガイドツアー」を実施して、キャリア就職課の場所やサービス内容、キャリアアドバイザーの利用方法などを紹介したり、各研究室に顔を出して学生一人ひとりの状況を把握したりと、スタッフが積極的にアプローチしていきます。

就職活動シーズンになると、各研究室では「就職係」が選出されます。毎週「学科就職事務室」に立ち寄り、就職サポートに関するお知らせを研究室に持ち帰ってもらうのですが、そのときに研究室メンバーの様子も伝えてもらっています。学生の近くで様子を見つつ、状況に応じたサポートをしていくことは簡単ではありませんが、学生のためにできることを1つ1つ取り組んでいます。

▼教員とキャリア就職課の連携
学生と距離の近いところにいる教員との連携は、就職支援する上でとても重要です。教員とキャリア就職課で組織する「キャリア就職委員会」では、就職環境や直近の動向を共有し、全学的なキャリア教育や就職サポートについて話し合っています。
それだけでなく、私自身、できるだけ研究室へと足を運び、教員との対話を大切にしています。

そのなかで感じるのが、本学の教員は就職サポートに協力的かつ熱心だということです。3年生対象の就職ガイダンスは学科別に実施するのですが、就活スケジュールや今後の取り組みについて説明するのは、職員ではなく教員がおこないます。学科の特性やカリキュラムを踏まえて、就職活動やキャリア選択について話ができるので、学生も自分事として考えやすくなります。教員の協力あってこその取り組みと言えるでしょう。

学生は教員をはじめ、学科就職事務室の職員、キャリア就職課メンバーやキャリアアドバイザーなど、多くのサポーターに見守られながら、それぞれの研究に取り組み、就職活動をスタートさせていきます。そして、いざというときは周囲の手をかりながら、自分らしいキャリア選択をしていける。そんな環境を目指したいですね。

▼合同企業説明会に向けた取り組み
本学の合同企業説明会(※1)は、学生の4割近くが参加企業に内定することもあり、自分の希望にあった就職先との出会いを期待して、多くの学生が参加します。コロナ禍で参加率は一時的に停滞しましたが、学生ニーズを汲み取り、時代変化に対応した企業選定をおこなうことで、高い参加率を維持しています。

説明会に参加いただく企業を選ぶ際は、OBOGがいる企業だけでなく、学生との相性の良さも大切にしています。本学の学生は、コツコツと技術に向き合うスタイルの仕事を好む傾向があります。文理不問の求人よりも、学んだ専門知識や技術を活かせる求人の方が相性が良いのでしょう。

新たな企業とのつながりを自分たちで開拓することも重視しています。気になる企業や成長産業に関連した企業があれば、こちらからアプローチして説明会などに参加いただくことがありますが、それだけでなく学生が報告してくれる内定先企業へアプローチして参加いただくこともあります。また、学生を同行して“企業見学・企業訪問インタビュー”するなど、キャリア教育の機会も設けています。今後も、学生と企業のよりより出会いの場を作っていきたいですね。

▼産学連携のキャリア教育
今年度よりキャリア系科目群が見直され、1~3年生まで必修化されました。他にも、企業見学会や企業特別講演会といった企業と接点がもてるプログラム、インターンシップ(※2)や産学連携プロジェクトといった実習系授業、社会人に向けての準備講座などが数多く組まれています。

インターンシップについては、キャリア就職課に「インターンシップ推進室」があり、学生はプログラム選びから相談することができます。学内DB「求人検索NAVI」にあるインターンシップ情報をチェックしつつ、具体的なプログラム内容やOBOGの有無など、様々な説明をうけて、ニーズに合ったプログラムを選ぶことが可能です。情報会社のナビサイトで探す学生もいますが、学内DBを利用する学生は多いですね。

インターンシップをはじめ、キャリア教育の実施には企業の協力が欠かせません。現在、83社・2団体と産学包括連携に関する協定(※3)を結び、キャリア教育にも関わっていただいています。学問を修めながら外の世界を感じられる貴重な機会です。改めて日頃のご協力に感謝を申し上げます。

民間企業だけでなく、理系公務員を目指す学生の支援として「公務員対策室」も設けています。昨今は民間テストで受験できる自治体の増加、実施時期の早期化など、年ごとに変化があります。民間企業との併願を考える学生も少なくありません。「公務員対策室」では個々のニーズに対応したカリキュラムを整えています。

▼充実したキャンパスライフ
本学キャンパスには、人が集える場所がたくさんあり、それが学生同士の交流をうながしているように思います。例えば、KAIT広場(※4)は特徴的な空間そのものが人を集めます。テーブルやクッションなどを貸し出しているので、天気の良い日にはくつろぎながら談笑している学生たちの姿をよく見かけます。

そのすぐ横にはKAIT工房(※5)があります。ここには“ものづくり”に必要な設備や道具、人が揃っていて、自由に利用することができます。なかにはライセンスが必要な作業もありますが、講習をうけられるので、3Dプリンターやレーザー加工機を自分で操作することができます。思い通りのものを作り上げるため、試行錯誤を繰り返し、壁にぶつかったときは専属スタッフにアドバイスをもらいながら、ものづくりの楽しさを実感できます。

他にも、図書館には“HUG(ハグ)”(※6)というコンセプトスペースがあり、友人と話をしたり、読書をしたりと、思い思いに過ごしています。eスポーツが好きな学生は、KAIT TOWNにある「eスポーツセンター」に集い、互いの腕を競い合っています。キャンパスで興味あることを見つけ、様々な人と交流しながら、充実した時間を過ごしている学生を見るのは嬉しいですね。

こうした大学生活のなかで、学生は少しずつ自身の興味関心や特性に気づき、研究テーマやその先にあるキャリアについて考えていきます。早すぎる就職活動は、その妨げにもなりかねません。早期化せざるを得ない採用活動の難しさは承知していますが、「すべては学生のために」、今後の新卒採用について対話を重ねていきたいと考えています。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
学内企業説明会
https://career.kait.jp/shukatsu/godo/index.html

※2
インターンシップ受け入れのお願い
https://career.kait.jp/recruit/internship.html

※3
産学包括連携に関する協定
https://career.kait.jp/recruit/cooperation.html

※4
KAIT広場
https://www.kait.jp/about/equipment/kaithiroba/

※5
KAIT工房
https://www.kait.jp/about/equipment/kaitkoubou/

※6
付属図書館HUG(ハグ)
https://www-uf01.ufinity.jp/kaitlibrary/HUG

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<大学データ>
神奈川工科大学
https://www.kait.jp/
〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030

キャリア就職課
TEL:046-291-3036
FAX:046-241-1215
Email:syusyoku@kait.jp

[学部]
○工学部
機械工学科(2024年4月改編)、電気電子情報工学科(2024年4月改編)、
応用化学生物学科(2024年度開設)

〇情報学部
情報工学科、情報ネットワーク・コミュニケーション学科、
情報メディア学科、情報システム学科(2024年度開設)

〇健康医療科学部
看護学科、管理栄養学科、臨床工学科

[大学院]
機械工学専攻、電気電子工学専攻、応用化学・バイオサイエンス専攻、
機械システム工学専攻、情報工学専攻、
ロボット・メカトロニクスシステム専攻
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