2023.09.26メールマガジン
【キャリアセンター長・インタビュー】専修大学 キャリアセンター事務部 部長 閑念 文博 氏
1880年(明治13)に4人の若者(※1)が、初めて日本語で経済学と法律学を学べる高等教育機関を創立した。スタートは1年生・2年生合わせて51人。それがいまでは、約1万7,500人の学生が学ぶ8学部20学科を有した総合大学となった。2020年に140周年を迎え(※2)、神田キャンパスには新校舎が竣工。学部学科の新設や再編・改組など、更なる飛躍を目指した取り組みを進めている。
今回は、専修大学キャリアセンター事務部部長、閑念(かんねん)文博氏にお話を伺った。
◆「社会知性の開発」に向けた取り組み
本学の建学の精神は「社会に対する報恩奉仕」です。「専門教育によって日本の屋台骨を支える人材を育てよう。そのことが海外で長年勉強する機会を与えてもらった恩に報いることだ」。留学先の米国で抱いた創立者たちのこうした想いが込められています。本学創立の史実を題材にして、歴史小説『蒼翼の獅子たち』(志茂田景樹著)が書かれ、『学校をつくろう』という映画も制作されました。
21世紀に入った今日においては、創立時の建学の精神である『社会に対する報恩奉仕』を現代版に捉え直し、21世紀ビジョン「社会知性(Socio-Intelligence)の開発」(※3)を掲げました。学んだ知性で、社会が抱える課題解決にチャレンジするマインドを育てることを目指しています。
具体的な取り組みのひとつとして「Siデータサイエンス教育プログラム」がスタートしています(※4)。基礎的な情報処理・データ分析能力・情報倫理を身に付けることを目的に、「基礎リテラシーレベル」では、全学部全学科で1年次から履修可能な該当科目を設けました。「応用発展レベル」は、文系の学問とデータサイエンスの融合により、さらに深く広く学問を展開していきます。
「SiUグローカル・スマートキャンパス」の構築にも取り組んでいます。本格的な展開は2024年度からになりますが、すでに今年度からBYOD(Bring Your Own Device:個人が所有するノートパソコンをキャンパスでの授業等で利用すること)とVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)が導入されました。授業で使う資料などは紙の配付からデータ配信に変わり、パソコンを活用しながら講義するスタイルが定着しています。
◆キャリア・就職支援のデータ活用
現在抱える課題として、支援プログラムへの学生参加率の向上が挙げられます。新型コロナの影響により、対面だけでなく、オンラインという選択肢が増えました。また、学生同士、学生と教職員といった人との距離感には変化を感じます。こうした動きに合わせた工夫が求められます。今の学生をしっかりと理解した上で、「参加したい」と思える内容に見直す必要があるでしょう。
そのための取り組みとして、学生データの活用・分析を進めています。支援プログラムに参加した学生のWebアンケートをデータ化して、コンテンツの改善に活かすわけです。これまでも学生アンケートは実施しており、その結果を確認していましたが、データとして生かしきれていたわけではありません。学生データの活用は、キャリア・就職支援をより良いものにするための有効な手段となるでしょう。
例えば、現在実施している支援プログラムは、少し増えすぎたと感じています。企画・運営する職員の負担は増す一方で、個別でなければ支援できない学生への対応が難しくなりがちです。スクラップ・アンド・ビルドではないのですが、数あるコンテンツのうち、何を残し、何処をどう変えていくのか。学生データを反映させて、より効果的な全体設計が望まれます。昨年からはじめた取り組みなので、今年はトライアルという位置づけで、1つ1つを検証していきたいと考えています。
◆支援で大切にしていること
支援コンセプトとして、「本学でしか提供できないもの」という点を大切にしています。外部支援サービスでは対応できない、私たちだから提供できるコンテンツに大きな意味があるでしょう。
また、学生一人ひとりの顔が見える支援を大切にしており、個別相談にも注力しています。学生からのニーズが高く、相談件数は年々増加傾向にあります。対応する職員やキャリアカウンセラーには限度があるので、今後は無理が生じてくる可能性もあります。
相談内容によっては、個別対応でなくても解決できることがあります。多く寄せられる質問や疑問を反映した支援プログラム、学生がよくつまずくポイントを押さえたコンテンツを提供することができれば、効率的に全体の底上げが見込めます。ここでも学生データの活用が効果を発揮しそうです。
キャリア形成や就職活動に強い関心を持つ学生への支援も大切です。もっと知りたい、学びたいというニーズに応えるため、キャリアデザインPBLプログラム(※5)を実施しています。参加した学生は実践的な経験を通して、実社会を見る目を養い、社会人として求められる思考やスキルを身に付けていきます。こうした学生が一定数いることで、周囲のキャリア意識を高めるといった良い影響も期待できます。
◆学生のキャリア課題と強み
学生にとって就職活動は、大きな意思決定の場であり、試練でもあります。乗り越えられるだけの成長を大学生活の中で涵養していくことが求められます。これは就活対策で得られるものではありません。4年間という時間の中で少しずつ養われていくものでしょう。大学生活全体を通したキャリア支援の重要性を感じます。学生たちの成長を促すような取り組みを目指したいですね。
就活時の支援では、学生の視野を広げるようなアプローチを意識しています。売り手(学生優位)市場が影響してか、志望業界以外に目を向けない学生が増えています。その志望業界も、限定的な情報だけで決めがちです。学生の興味関心を高め、より多くの選択肢を知ってもらう意義は高まっています。
学生は初めてのキャリア選択を前にして、様々なことに悩みながら、少しずつ自分の将来を思い描いていきます。この時間は、大人になるプロセスとして必要なものであり、尊重されるべきでしょう。企業の方々には、学生の意思決定を急かすことなく、また書面などで縛ることのないよう、ご対応いただければ幸いです。
本学の学生は、真面目なコツコツタイプと評されることが多く、組織の屋台骨を支える人材となり得る強みを持っています。その良さを活かしながら、特色ある学生を増やしたいですね。「社会知性の開発」という21世紀ビジョンに沿った取り組みが始まっています。キャリア・就職支援にも活かして、少し尖った部分のある学生を輩出していきたいと考えています。〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕
※1
4人の創立者
https://www.senshu-u.ac.jp/history/founder.html
※2
140周年記念「躍動と躍進」
https://www.senshu-u.ac.jp/140th/
※3
21世紀ビジョン「社会知性(Socio-Intelligence)の開発」
https://www.senshu-u.ac.jp/about/spirit/vision.html
※4
Siデータサイエンス教育プログラム
https://www.senshu-u.ac.jp/education/datascience/
※5
キャリアデザインPBLプログラム
https://www.senshu-u.ac.jp/career/careerdesign/pbl-program/
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<大学データ>
専修大学
https://www.senshu-u.ac.jp/
神田キャンパス
〒101-8425 東京都千代田区神田神保町3-8
生田キャンパス
〒214-8580 神奈川県川崎市多摩区東三田2-1-1
キャリアセンター事務部キャリア形成支援課
○神田キャンパス
TEL:03-3265-5827
FAX:03-3265-5865
MAIL:kcareer@acc.senshu-u.ac.jp
○生田キャンパス
TEL:044-911-1269
FAX:044-911-1246
MAIL:icareer@acc.senshu-u.ac.jp
<学部>
経済学部、法学部、経営学部、商学部、文学部、人間科学部、
国際コミュニケーション学部、ネットワーク情報学部、二部(夜間部)
<大学院>
経済学研究科、法学研究科、文学研究科、経営学研究科、商学研究科
<専門職大学院>
法務研究科
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