2024.08.27メールマガジン

「コミュ力」を磨くには??。

「雑談の仕方、ってどうやって教えればいいのでしょう」。

都内のソフトウェア関連企業の研修担当者と話していて、こんな話題になりました。

コロナ禍で「新入社員研修」は試行錯誤を余儀なくされてきました。一同に会して座学を受ける中で、同期の絆を深め合う、という従来の形での研修が難しくなり、オンラインでの講義や「eラーニング」などを駆使しながら、社会人としてのイロハをなんとか叩き込む。業界・職種を問わず、研修担当者には様々な苦労があったことでしょう。

ところが、そんな苦労を経て送り出した新人たちが独り立ちし、後輩を迎えるようになる中で、課題も見えてきたといいます。「上司や後輩と、雑談ができない」という悩みを打ち明けるケースが増えてきたのだとか。SNS世代の若者たち。互いの距離を縮めようにも、そのきっかけとなる「話題」が見つからないのが悩みの種。大学のゼミやサークルでの飲み会を長らく自粛してきたことも響き、年の離れた上司はもちろん、後輩たちとの接し方にも課題を感じているようです。

雑談が必要なのは、同僚との間だけではありません。大手企業の社内システム構築なども請け負っているというこの会社では、システムエンジニアがクライアント企業の要望を聞き取り、最適な解決策を提案することも重要です。ところが、真正面から「御社の課題を聞かせてください」と尋ねても、なかなか本音の話は出てこないもの。「立ち話でもいいんです。様々な機会を使った雑談で聞き出すのが一番なんですけどね」とため息交じりに話してくれました。

趣味・嗜好が多様化している若い世代にとっては、上司の世代が何気なくできている雑談も、簡単なものではなくなっているのかもしれません。そんな要望にお応えするために、読売新聞では新聞を活用した研修「新聞のちから」(https://kyoiku.yomiuri.co.jp/chikara/)を提案しています。

政治・経済・国際情勢から事件事故まで、幅広い情報を網羅した新聞は、「ネタの宝庫」と言ってよいでしょう。ニュースを入り口に話題を広げ、相手との距離を縮めていく――。上司の世代にとっては当たり前にできていた雑談を身につけるための格好の教材と言えるのです。ニュース、特に紙媒体である新聞は、ニュースをいち早く入手する「速報性」には劣りますが、情報を俯瞰し、様々なジャンルの情報を網羅的に入手する上では実に効率のよいメディアといえるのです。

新聞で身につくのは雑談力だけではありません。限られたスペースに効率よく情報を詰め込むため、新聞記事は「結論を前に持ってくる」ことがルールです。この文体に親しむことによって、報告書の作成やビジネスメールで必要とされる「相手に用件を簡潔に伝える」ことも自然とできるようになります。「新聞のちから」では、豊富な取材や記事執筆の経験を持つ現役の記者が講師となり、新聞を教材にこれらのビジネススキルを身につけられるのが特徴です。

新聞記者になって25年の私自身、実は若い頃は初対面の人と話すのが苦手で、取材相手から「ネタ」を引き出すための関係作りに苦労したものでした。ところが、自社の商品である新聞に毎日目を通し、様々なニュースに接する中で、自然とニュースを入り口に雑談ができるようになり、年の離れた警察官や県庁マン、企業の広報担当者と関係を築いてきました。

残念ながら「雑談の仕方」に答えはありません。ただ、「雑談力=コミュニケーション能力」を身につける近道は、幅広い情報を入手することだ、とはいえます。SNS世代こそ、「新聞のちから」を活用して得られるものは大きいのではないかと思っています。
〔読売新聞東京本社 教育ネットワーク事務局 石橋 大祐 氏〕
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「新聞のちから」
https://kyoiku.yomiuri.co.jp/chikara/

現役記者が講師となり、新聞を活用した「書くちから」「読むちから」「会話するちから」の向上が目的の研修。
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